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かつての教え子達に慕われ続ける老境の先生の話だが、落語のようなおかしな話、しんみりする話が連続する。何しろ、先生は泥棒のための通路を示す紙を家の中に張り出すほどなのだから。黒澤明監督の映画の中で、これほど笑い、そして歌の場面が多い映画は他にないだろう。特に「あおげば尊し」が心に残る。そういう特徴はあるが、室内のシーンはこう撮影するのだ、という黒澤流撮影の技法はふんだんに披露される。まるで、監督自身が後進に範を示すように。室内の場面だけでなく、日本の四季を捉えた映像や、香川京子の仕草などは、古き良き日本を映像化しておきたいという監督の意図を反映しているだろう。戦後間もない瓦礫の街も、監督の生涯で忘れられない光景だったのだろう。要所でヴィヴァルディの曲を効果的に使う音楽センスもさすがだ。そして、最後、先生は子供に戻って隠れん坊をする夢を見、その子供が見る雲の浮かんだ空が、金色、緑色、そして赤紫のような色に変化して映画は終わるのだが、この色彩感覚には舌を巻く。「夢」以来の作品のエッセンスを煎じ詰めたような幻想的なシーンだ。監督はこのような夢を見ながら大往生を遂げたのではないだろうか。黒澤明監督映画の歴史のラストを飾る名場面である。そして黒澤明監督への感謝の気持ちで一杯になる映画である。 この商品を買った人は他にこんな商品も買っています。 |
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